
6歳で家族に見捨てられ、ノースカロライナの湿地帯でただ一人生き延びる少女カイア。しかし彼女に殺人の疑いがかけられます。
読み出して意外だったのは周囲の動植物の描写が、実際に体験しないと表現できない程とても繊細なことです。まあ主人公のカイアは自然に囲まれた環境で暮らしているから当然としても、作者のディーリア・オーエンズってのは? 何と動物行動学の博士号を持つ女性学者で、この小説が69歳にして初の執筆なのでした。
ザリガニは実際は鳴きません。だからタイトルの「ザリガニの鳴くところ」というのは、心の中で耳を澄ませばその境地に達することができる、というような意味の比喩でしょうか。
大自然の中での太古からの凄まじい生存競争、善悪の観念など全く通用しない生物達の熾烈な生態を目の当たりにしてきたカイアにとってはその教訓が全てです。やがて殺人容疑は晴れ、そして読み書きを教えてもらった幼馴染と一緒になり、更には生物関係の図書を何冊も出版するまでになります…でも、読み終えて…えっ、本当にか?

2年前には映画も公開されています。

「僕の出番は?」3ヶ月前のチロ。